植物機能ゲノミクス

ヒルガオ科植物の他殖性のメカニズムを解明し、交配育種への応用を試みています。

植物機能ゲノミクス土屋 亨 准教授 Assoc. Prof. Tsuchiya Tohru

ヒルガオ科植物の他殖性

最も身近なヒルガオ科の植物はアサガオですが、アサガオは自分の花粉の受粉により種子を作ることのできる自殖性植物です。しかし、ノアサガオやサツマイモ栽培種のほとんどは、他人の花粉が受粉してはじめて種子を作ることができる他殖性です。この他殖性は自家不和合性と呼ばれますが、ヒルガオ科植物は独自のシステムを発達させてきました。

他殖性を制御する自家不和合性

ヒルガオ科植物の自家不和合性では、花粉が雌しべの先端に受粉した直後、花粉と雌しべの間でコミュニケーションが起こり、雌しべの自家不和合性の型とは異なる型の花粉のみが花粉管を伸長させ、受精し種子を作ります。この自他認識のコミュニケーションがどのように起きているのか、どんな遺伝子が関与しているのか、ヒルガオ科植物では明らかになっていません。

自他認識機構の解明と交配育種への応用

ヒルガオ科の自家不和合性の自他認識に関わる遺伝子や分子が明らかになれば、自家不和合性(他殖性)を打破し自家和合性(自殖性)にすることも可能です。サツマイモ栽培種の多くは少数の同じ自家不和合性の型を持っており、同じ型のグループ内に有用な形質を持った品種があったとしても交配して新しい品種を作ることは困難です。この自家不和合性を人為的に制御することができれば、交配により新たな有用な品種を効率的に作り出すことができると考えています。

ヒルガオ科の多様性

とはいえ、サツマイモ栽培種は6倍体なので、遺伝解析が困難です。そこで、実際には、サツマイモ栽培種に最も近い2倍体の近縁野生種「メキシコアサガオ」をモデルに研究を進めていますが、複数のサツマイモ栽培種を栽培して解析を始めています。また、大学周辺には様々なヒルガオ科植物が雑草として自生していますが、一部の植物は自家不和合性を示します。このような植物たちも研究に使えないかと、フィールドでの調査もしています。

 

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