菌類を知る,とは?
キノコやカビ、酵母などの菌類(真菌類)は食品や医薬品の原材料として、また、農作物の病原菌として我々の生活に密接にかかわっています。さらにスケールを広げてみると、人類を含む多様な動植物が生きる陸上生態系において、菌類は寄生者・共生者・分解者として様々な生物間相互作用や物質循環の要を担う生物群です。生物資源としても生態的機能群としても重要な菌類ですが、推定種数150万種とも1000万種ともいわれる多様性のうち、我々はたった1割程度しか知り得ていません。本研究室では、このような菌類の未知の多様性や生態の解明を目指して研究を進めています。
“見えない”菌類の未知の多様性を解明する
野外調査、顕微鏡観察、分離培養、分子生物学的手法などにより、植物寄生菌や木材腐朽菌など様々な菌群の多様性や生態について研究しています。日本以外でもブラジルやニュージーランド、北極圏などで調査を行い、菌類の未知の多様性や生態の解明に取り組んできました。最近では、環境中のDNAを解析することで、肉眼で見えない菌糸の状態で潜在している未知系統を検出することに成功し、菌類多様性の新たな側面を明らかにしつつあります。
菌類の新たな価値
地球上には未知の菌類が多数潜在しています。実生活に役立つ生物資源としての利用や農作物の病原菌としての防除を考えていくうえで、個々の菌類の正確な種同定や生態的特性などの基礎的知見が欠かせません。わからないことだらけで新たな発見に満ち溢れた生物、菌類の多様性や生態について一緒に研究してみませんか?
2021.06.03
植物医科学 研究室 Phytopathology
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